高橋 今後は多くの生徒に対応できるよう、インターネット塾生を募集したいと考えており、システム構築をし始めようとしています。あと、自分のやり方をシステム化して、自分でなくてもできるようにしたい。多店舗展開ができれば良いのですが、集客するのは大変だし、それまでの間は赤字になってしまうからハードルは高いと思いますので、今の塾を活性化させるのが一つの方法と考えています。
有馬 しかし、これだけの丁寧な教育をこなせるのは高橋さんだからではないでしょうか。
高橋 そうかはわかりませんが、将来的には学習塾向けに、学習状況を配信するツールを開発する会社を立ち上げたいとも考えています。逆に先生方を指導し、素晴らしい教育者を作る会社も作れればと将来的に考えています。最終的にはグローバル展開するために英語の書籍も読み始めています。
有馬 世の中には誰かに指導してもらってほしい先生がいっぱいますからね(笑)しかし、ここまでの事業拡大プランを考えているとは、高橋さんが年末に仰っていた、現状が目標の1%未満の到達度というのがわかってきました。
高橋 今の自分の実力以上のことをやろうとしているけれど、そういったことをやりたいという気持ちは常に持っていたい。成績で悩んでいる生徒はたくさんいるので、それを解決したいと思っています。
有馬 去年(平成26年末)のweb忘年会で、高橋さんにYASHOTと名前を付けてもらったのもあって、これから皆で何か出来ればいいな、と考えています。ジャストアイデアの一つですが、YASHOTの面々でサイエンスカフェなんてやったらどうかと思うのですが、いかがでしょうか。
高橋 面白いアイデアだと思います。例えば、物理学会の近くでサイエンスカフェをすれば、長い学会の中で時間を持て余している専門家が結構参加してくれるのではないでしょうか。
有馬 専門家相手に話すと思うとちょっとハードルが高い気がしますが…。
高橋 そんなことはありません。何もこちらが知識を持っている必要はないんです。それは知識を持っている人を集めればいいだけの話で、そこで面白いアイデアを生み出すこと、大事なのはお互いがコミュニケーションをとり、悩んでいることが何かを引き出すこと。むしろ、この「YASHOTサイエンスカフェ」というシステムパッケージの中では、コーヒーをどう提供するか、そういう所の方を考えないといけない気がしています(笑)
有馬 なるほど、サイエンスカフェって基本的には専門家が専門のことをそうでない人達に一方通行的に話すイメージでしたが、最初からそれを狙うのも面白いですね。
高橋 普通の町中の商店街でこんな話します、と言っても誰も集まらないですよ(笑)それならニーズのあるところでやった方が良い。そしてそのような場を設定することこそが大事です。企業の問題意識をというのは最初から思い付くはずがありません。実際に話してみて初めて気付くことです。
有馬 確かに。最初から「気付き」を掘り起こすためのカフェは斬新です。
高橋 「素晴らしいアイデアはリラックスしているときにひらめく」と思います。ちなみに、5年前に起業した時は私も教育サービスを「こちらから提供する」意識だった。だからこちらが詳しくないといけないと思っていましたが、全然うまくいきませんでした。今は、ひたすら生徒や保護者が抱えている問題をたくさん聞いて、それを解決する策を考えよう、という意識です。
有馬 これに限らず、何かやろうとする時、自分が出来る状態でないとダメだと思っていたんです。そうではなく、相手が持っているニーズを話から引き出して、現時点で自分の持っている能力の範囲外であっても、それを解決するコンサルの気持ちでないといけない。そういう話はよく聞くのですが、今までピンと来なかった。でも今日、具体的な話を聞いて納得しました。
高橋 サービスを作る時に、自分のアイデアだけではサービスなんて作れっこないんです。やはり、お客様の抱える問題を直接聞くことで、生まれていく。学習状況を送信するメールシステムについても、保護者のメールを送ってほしいというニーズから生まれています。
有馬 保護者がちゃんと塾に行けているか入退室状況を知りたいというニーズに加え、学習状況を知りたいというニーズを高橋さんが汲み取ってサービス化した。これはビジネスの綺麗な成功事例だと思います。
研究室時代に高橋さんに救われた身としては、今後も塾をどんどん拡大して、より多くの生徒を救っていただきたいです。
高橋 成績で困っている人はたくさんいますから、是非塾の存在を皆さんに知ってほしいですね。
有馬 本日はお忙しい中、ありがとうございました。